連載知財コラム

渡邊弁理士の知財よろず研究所

SSIP  誠真IP特許業務法人

弁理士 ジュニアパートナー

渡邊 裕樹 さん

(理学修士)

経歴:東京工業大学大学院

         理工学研究科卒業(物性物理学専攻)

職歴:専門商社に勤務後、大手国内特許事務

   所を経て現職

業務内容:機械・制御・電機分野の特許権、

     著作権が専門

趣味:ギター・ドライブ

 特許業務は機密事項を取り扱うため、遠隔地勤務はセキュリティ等の理由から敬遠されがちであったが、近年のIT技術の進歩によって将来性が見えてきた。例えばインクライアントシステムの導入である。このシステムでは、セキュリティが強固に確保されたサーバと、該サーバにネットワークを介してアクセス可能な端末が用いられる。端末は専らサーバ上のデータをブラウズしながらデータ操作する機能のみを有し、自己にデータ等を記憶することはない。これにより、サーバでセキュリティを確保しながら遠隔地から端末を用いて業務遂行が可能となる。

 

 特許業界では、主要企業の本社機能や特許庁が大都市に位置していることから、特許事務所も大都市圏に著しく偏って分布しているのが現状である。確かに大都市圏では業界情報を入手しやすかったり、クライアントと地理的に近いというメリットがある。一方で、例えば書類作成が主業務である特許事務所員にとっては地理的制約が緩く、遠隔地勤務に馴染みやすいケースも少なくない。

 

 遠隔地勤務では、独立して業務を遂行できる高い業務能力や自己管理能力が求められるものの、業務効率の改善や家庭生活との両立等のメリットもある。特に高齢化社会が進む現代では、家族の介護問題の解決策の一つにもなり得る。更には、地方における雇用創出を促進し、地域振興に貢献できる可能性もある。 このような遠隔地勤務はまだまだ発展途上にあるが、更なる技術進歩や、クライアント側の理解・協力を得ていくことで、近い将来、主要な業務形態の一つになる可能性を秘めているのではなかろうか。

第一回 ITで広げる特許業務スタイル