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弁理士 特許事務所 特別インタビュー

弁理士 渡辺 大介 さん

特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所

パートナー弁理士 渡辺 大介(わたなべ だいすけ)さん

経歴:大手特許事務所、ユニ・チャーム知財法務部を経て

   コンサルティング会社に入社。多様な事業立ち上げ

   に携わった後、独立起業。

   紆余曲折を経て志を共にする現事務所に合流。

趣味:美術館巡り(海外に行くほど) 映画鑑賞 料理

発明発掘はもとより知的財産専門家の視点からクライアントの事業全体にわたってトータルコーディネートを行う『アイザック国際特許商標事務所』。その中心メンバーの一人である 弁理士 渡辺大介さん に直撃インタビュー

Q アイザック国際特許商標事務所の特徴についてお聞かせください。

A はい。当事務所の最大の特徴(強み)として、所員一人一人が積極的に多様な業界にアプローチし依頼を獲得していくメンタリティと、それぞれが専門性を有し各業界に対応している点が挙げられます。なかでも

 ・スタートアップ企業やベンチャー企業支援に強みがある

 ・発明発掘に止まらず事業単位で提案し支援していく手法

 ・クリエイティブ系の業界支援に強みがある

 この3点が得意とするところです。

 

 

Q とても興味深いです。従来の特許事務所で積極的なメンタリティを奨励しているところはなかなかありませんよね。この特徴を持つに至ったきっかけなどございますか?

A そうですね。昔から弁理士の仕事の仕方といえば、依頼を受けて調査判断し出願するという完全受注受け身型です。今でも多くの方がそうでしょう。それはかつて技術の進歩や時代の変化に伴い知的財産保護の重要性が飛躍的に高まったため、高まるニーズの受け手として弁理士が求められたという側面が大きく作用しています。つまりニーズの多さに対し受け手が足りない状況からスタートしていたわけです。

 しかし今では企業の求めるニーズの数自体が鈍化している状況です。出願件数だけではありません。有力企業は弁理士の専門性さえも自社内に包括するに至りました。反比例して弁理士の数は増え続け、事務所に所属する弁理士一人当たりの取扱件数は大幅に減少したと言われています。

 このような状況は明らかなのに、私たち弁理士は受注受け身型でよいのでしょうか。ビジネスの世界は目まぐるしく変化しており、受け身では変化をつかむことが非常に困難といえます。

 

 

Q なるほど。最早受け身型では難しい時代なのですね。だからこそ積極的なメンタリティが重要であると。今後特許業界に活路はありそうでしょうか?

A 今日まで特許業界を牽引していた分野からのニーズは確かに鈍化しました。このことが特許業界に与える影響はとても大きいものです。しかし、それはイコール日本全体のニーズの総量ではありません。これまで特許に疎かった企業や知的財産保護の重要性が高まってきている分野等、各方面に新しいニーズが芽吹いてきています。

 なかでもスタートアップ企業やベンチャー企業においては、特許の意識自体がまだまだ浸透しておらず、可能性を持っていても活用されていない現状があるため潜在的なニーズが確かに存在します。

 当事務所は、スタートアップ企業が集まるミートアップでの相談や講演、ベンチャーキャピタルと連動した企業相談等を通じて専門家として積極的に支援しニーズの掘り起こしを行っています。

 私自身起業経験がありますので、弁理士としての専門知識とこれまでに培った経験を活かし、クライアントの事業に有益な提案および支援ができることを強みとしています。

 

 

Q 積極的なメンタリティをもって新たなニーズの掘り起こしにチャレンジしているということですね。事業単位の提案および支援もその一環でしょうか?

A はい。今の話ともつながるのですが、そもそも特許に疎い企業というのは、特許をとることで得られるメリットを想像し難いのだろうと思われます。結局「ビジネスにどう影響するのか?」この問いへの答えが明確でない限り必要性を感じていただくことはできません。

 当事務所が提案するのは、特許が取得できるか否かに終始した発明発掘に止まらず、その事業の成長に寄与する視点から検証を行い、そのために有益ならば技術面だけではなくサービス面、プロダクト面に至るまで発明発掘し権利取得の支援を行うものです。 

 さらに、特許をとって終わりではなくマーケティング上どう活用するかについても支援を行います。たとえばベンチャー企業にとって特許をとったことはすごく重要なことですが、それをプレスリリース(報道発表)に流したりはしていません。当事務所では、この技術があればどういうことができるか、といった内容をメディアミックスで戦略的に広報していくことも支援の一環として整備していきます。

 

 

Q クリエイティブ系の業界支援における強みとは何でしょう?

A クリエイティブエージェンシーやファッションブランド等、業態によってビジネスのタイムスパンやスケジュールが全く違います。たとえばファッション業界は実売期の約半年前に展示会(デザイナーコレクション)を開いて発表しますが、そのタイミングに向けてロゴの制作や商標等の権利取得に動きます。審査期間との兼ね合いもあるためスケジュールを理解していないとクライアントの要望に沿うことは難しいといえます。この点について豊富な経験と実績があるため当事務所の強みのひとつです。

 

 

Q 今後の知的財産業界について一言お願いします。

A 近年、スマートフォンの普及等によりユーザーが製品やサービスを利用することで得られる体験(いわゆるユーザーエクスペリエンス)やインターフェースの向上が加速度的に進み、今までにはなかった新しいコンセプトが特許になっていたりします。また、ひとつの製品をつくるまでに数多くの特許ありきが当たり前だった時代から、今では少数の特許でも事業にインパクトを与えるものが増えてきています。そしてこれらの特許を生み出しているのはIT企業やベンチャー企業等であり、これまで特許に縁遠かった分野でもあります。

 新しい分野で革新が起こり、特許が生み出されるこの時代の転換期にあって、彼らが育つのを待つのではなく、専門家たる弁理士が果敢に前にうってでて開拓していくことが求められていることではないでしょうか。

特許はとったら終わりではない。

                   とってからが始まりだ。

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