エンブレム問題は海外との知財認識の差を浮き彫りにした事件です
(引用元)
佐野研二郎氏がデザインした2020年東京五輪の公式エンブレムが、ベルギーにある劇場のロゴに酷似している疑惑が最初に報じられたのが7月29日。第一報から1カ月が経過し、今月1日には大会組織委員会が同エンブレムの撤回を決定した。
実は本事件は、日本の著作権に対する認識が世界から大いに遅れて孤立状態であることをグローバルに晒してしまった。
東京五輪における国内スポンサー企業は21社。そのうち13社は、8月末時点で自社HPやテレビCMなどでエンブレムを使用していた。しかし、トヨタ自動車、ブリヂストン、パナソニックなどは、最高位のスポンサー権を持ちながらエンブレムを使用していない。
(引用ここまで)
あまり好きな言葉ではないのですが、しばしば“日本はガラパゴス化している”なんて揶揄されたりしますよね。
この著作権問題はまさにそれです。
大会組織委の「なんで提訴するの?」みたいな発想はあまりにも日本的といえるでしょう。
遺憾ですって発想がイカンです。
・・・失礼(コホン)
国内の事案ならそれでいいかもしれませんが、周り(海外勢)はほっといてくれないです。
象徴的なのは、海外で戦っている企業はそのあたりの感覚が分かっていてエンブレムを使用していないこと。
それほど“一般”と“知財に精通したもの”との間に認識の差があるのです。
日本はいわば性善説文化。あのこホントはいいこなんだよ、話せばわかるよ、私も日本人ですので最大の美徳だと思っていますが、世界規模となれば話は別です。
周りは攻撃の手を緩めてはくれません。
今私たちがなんとなく使用しているロゴ、著名じゃないから見逃されているだけで、技術が進んで大小問わず世界中の情報をリアルタイムで検索できるようになったとしたら訴訟の標的にされますよ。
今回のエンブレム問題、何が一番まずいかというと、日本標的にしやすいんじゃないの?って世界にアピールしちゃったことじゃないでしょうか。
だって、国と国内に名を馳せる有名企業がそろってやっちゃってるんだもの。
そりゃー、パテント・トロールみたいのが皆気付いちゃったと考えるべきですね。
なので、今回のような問題はもっともっと起きるでしょう(断言します)。
自らを守り、そして攻めに転じるためにも知財は重要です。
エンブレム問題、対岸の火事ではなく、私たち一人ひとりが同じ轍を踏まないよう糧としたいですね。