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【第4回】勝手に貯まる!知的(に)財産(を築く)経営のススメ

弁理士 古志 達也 さん

弁理士・FP技能士・知的財産検定1級(特許)・ソフトウェア開発技術者等

経済学部でデリバティブ等の金融工学を学び、在学中に宅建資格を取得。卒業後に一部上場のシステム会社にシステムエンジニアとして勤務し、簿記・会計の勉強にも励む。

特許事務所に転職後、翌年の2004年弁理士試験に1発合格する。

2005年に26歳で独立開業し、講師業も開始。多数の受験生の指導に携わる。

特許、実用新案、意匠、商標、不正競争、著作権等の知財全般について実務を行うと共に、外国出願も手がけ

る。当事者系審判・訴訟も扱い、単独代理で、審決取消訴訟に勝訴できる能力も持つ。

特許の専門分野は、ソフトウェア・ビジネスモデル、通信等。

20代前半から、将来の早期リタイアの計画を立て、経済、経営、会計、税制等にも通じている。

 ~経営のご相談・お仕事のご相談等は、info@be-ambitious.jpまで~

弁理士 古志 達也 さん

【日本株は、『なぜ』上がるのか?日本株は、『バブル』なのか?(後編)】

 ~ 「予想EPSの推移」からの分析を行っている経済記事は、殆どありません ~ 

 弁理士は、職業柄、法律や技術に詳しい方が多いです。

 一方で、経済、経営、会計、税制等には、専門外でよく分からないという方が多いです。

 本コラムでは、知的(に)財産(を築く)ために、一般的に弁理士が苦手としているこれらの分野についての情報を提供致します。

 今回は、15年ぶりの株高で好調の「日本株」は、①『なぜ』上がるのか? ②『バブル』の状態にあるのか? ③今後は、どのように推移するのか? について解説していきます。

日経平均株価・2~3ヶ月・簡易予想

 【2015年3月下旬~6月下旬の予想の結果】

 2015年6月24日(日中高値) 20,952.71円 ⇒ 7月9日(日中安値) 19,115.2円

  半月程(2015年6月~7月)で、日経平均株価で直近高値から1,837.51円の下落

  ※詳細は、PATENAVI 8月号・WEB版のみの特別検証記事(番外編1)をご参照下さい。

 

 【2015年7月22日時点での予想】

 2015年8月~10月のどこかで直近高値をつけ、1ヶ月程度の期間をかけて、日経平均株価で2,000円~3,000円程度の大きな下落が起こる可能性があります。

 ※最終的なご判断はご自身でお願い致します。

 1、 よく耳にする『日経平均株価(日経225)』とは

 「日本株」の代表指数である『日経平均株価(日経225)』とは、「東京証券取引所第一部に上場している株式のうち、日本経済新聞社が、セクター(業種)間のバランスを考慮して、市場での流動性が高い225銘柄を選定し、株価平均型方式を基にした計算方法で修正平均を算出した株価指数」です。

 「キヤノン」、「パナソニック」、「デンソー」、「本田技研」、「コニカミノルタ」等、知財業界の方に馴染みが深い、国内の特許出願件数が多い上場企業も、225銘柄に含まれています。

 2、 『日経平均株価』の「予想EPS(一株あたり利益)」・「予想PER(株価収益率)」

 225銘柄から構成される株価指数である『日経平均株価』についても、特定の会社の株式のように、「予想EPS(一株あたり利益)」、「予想PER(株価収益率)」が、毎営業日ごとに公表されています(「EPS」、「PER」が何を表すかについては、前回の記事を参照下さい)。

 3、 日本株は、『なぜ』上がるのか? ~「予想EPS」面からの分析~

 『日経平均株価』と、日経平均の「予想EPS(一株あたり利益)」の過去10年の推移(2005年6月~2015年6月)を確認しましょう(図1)

図1

 小泉政権(2001年~2006年)に「800円」を超え、安倍政権(2006年~2007年)に「950円」程度まで上昇しました。

 福田政権(2007年~2008年)、リーマンショックを経て、麻生政権(2008年~2009年)に「100円」を切る水準(一時期はマイナス圏)まで暴落し、民主党政権(2009年~2012年・鳩山、菅、野田)時代に「750円」を超えるあたりまで回復し、安倍政権(2012年~2015年現在)では「1,250円」の水準に至りました。

 『日経平均株価』と、日経平均の「予想EPS」を比較しますと、「予想EPS」の上下変動の大体3~6か月前に、先取りして『日経平均株価』が動いていることが分かります。

 

 ここ数年(2012年~2015年現在)、「日本株は、『なぜ』上がっているのか?」というと、日経平均の「予想EPS」の継続的な上昇(600円⇒1,250円)に先行する形で株価が上昇しているのです。

 つまり、『日経平均(日本株)の「予想EPS」が継続的に上昇しているから』です。

 4、 日本株は、『バブル』なのか? ~「予想PER面」からの分析~

 次に、日経平均の「予想PER(株価収益率)」の過去10年の推移(2005年6月~2015年6月)を確認しましょう(図2)。

図2

 2008年前半~2009年前半の1年ほどを除いて、日経平均の「予想PER」は「10~20倍」の範囲で動いていました。この「予想PER」の水準は、世界的にみても、妥当です。

 

 2015年6月23日現在、「日本株は、『バブル』なのか?」というと、日経平均の「予想PER」は「16.5倍」程度で、過熱感は全くなく、『バブル』であるとは、全くいえません

 ※過去の日本のバブル期がどの程度の「PER」であったかも、ご確認下さい(図3)。

図3

 但し、2008年前半~2009年前半(リーマンショック)の時のように、急激に日経平均の「予想EPS」が悪化する事態が生じれば、対応して、日経平均の「予想PER」も急激に上昇し、『日経平均株価』の暴落につながる可能性はあります。

 具体的には、アメリカ、中国等で、世界的な信用収縮が生じるような原因(資産や株価の暴落等)が生じた場合が考えられます。

 5、 どうすれば『日本株で儲けられる』のか? ~皆が知りたいこと~

 『日経平均株価』と、日経平均の「予想EPS(一株あたり利益)」を比較しますと(図1)、「予想EPS」が順調に上昇している期間(2005年~2007年、2013年~2015年現在)は、『日経平均株価』も順調に上昇しています。

 「予想EPS」が大幅に下落する期間(2008年~2009年)の前には、先行して『日経平均株価』が下落しています。

 リーマンショックの痛手から「予想EPS」が自律回復しているが、落ち込む時期もある期間(2010年~2012年)は、『日経平均株価』も横ばい程度です。

 つまり、一般論として『日本株で儲ける』ためには、今後「予想EPS」が順調に上昇すると見込まれる期間に投資(購入)し、大幅に下落する期間の前に売却すればよいのです。

 6、 日本株は『今後も』上がるのか? ~皆が「もっと」知りたいこと~

 私も含め、皆が一番知りたいのは、ズバリ、「日本株は『今後も』上がるのか?(日本株の保有は、『今後も』儲かるのか?)」でしょう。

 

 今回具体的に説明したように、「健全な株価上昇(バブルではない株価上昇)」は、「予想EPSの上昇(ファンダメンタルズ価格(理論価格)の上昇)」によるものです。その場合、「予想PER(株価収益率)」は大して上昇しませんので、「資産価格が投機的(バブル)」にはなりません。

 もし仮に、『今後も』日経平均(日本株)の「予想EPS」が「継続的に上昇する」ならば、確実に『日経平均株価』は上昇していくでしょう。

 また、日経平均(日本株)の「予想EPS」が「横ばい程度」ならば、『日経平均株価』も横ばいで推移する可能性が高いでしょう。それでもなお、『日経平均株価』が上昇していくならば、「予想PER」の急激な上昇を伴い「資産価格が投機的(バブル)になっている」といえます。

 日経平均(日本株)の「予想EPS」が「下がっていく」ならば、『日経平均株価』の未来も、暗いものになるでしょう。

 

 そして、『今後の』日経平均(日本株)の「予想EPS」がどのように推移していくかは、

 ①小泉政権(2001年~2006年)の期間のうち、2003年以降の『日経平均株価』の上昇は、どのような政策がきっかけなのか?

 ②リーマンショック後の、麻生政権(2008年~2009年)、民主党政権(2009年~2012年・鳩山、菅、野田)時代の、『日経平均株価』の回復の緩慢さは、どのような政策が原因か?

 ③安倍政権(2012年~2015年現在)の『日経平均株価』の上昇は、どのような政策がきっかけなのか?

 ④安倍政権(2006年~2007年)と安倍政権(2012年~2015年現在)の政策の違いは何か?

 の4点を考え、分析すれば、自ずと導き出すことができます。

以上

※本コラムは、知財業界の方々に経済、経営、会計、税制等の情報提供を行う目的で作成したものであり、投資勧誘を目的に作成されたものではありません。

※本コラムの作成にあたり、筆者は情報の正確性等について細心の注意を払っておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。

※本コラムに記載した筆者の予測、予想、意見や、税制等は、本コラムの作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。

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